2018年4月17日火曜日

絵本


絵本の最後は「王子は悲しみに暮れ、国中を探しましたが、姫の姿をみたものはいませんでした」となっていているけど、あれが本当の終わりなのかな?

ちょっと続きを書いてみたよ。

「王子は王国の外、海を超え、砂漠の向こう、深い森の中をさがすため一人旅に出ることにします。

王様は王子にいいます。「王子よ。家族も国民もすべてをすてて旅に出るというのか?」
王子は答えます。「はい、私はこの世でいちばん大事なものを取り戻すため、行かなければならないのです」
王子の覚悟を知った王様は最後に声をかけます。「森のハズレの魔女を尋ねよ。手がかりが得られるかもしれぬ」

王子は森のハズレで魔女に問います。「化物に変わってしまい、行方をくらませた姫のことを知りたい」
魔女は答えます。「かわいそうな魔物の娘。お前を愛するゆえに元の姿に戻ることも出来ず化物となって世界の果てをさまようという。しかし、お前が愛する家族、お前を慕う王国の民、全てを棄てるというなら娘を救えるかもしれん。魔法の呪文を教えてやろう。娘の行き先はわたしも知らん。お前は自分の力で見つけなければならないよ」

家族のことも王国のことも忘れてしまうくらいの長い放浪の末に王子は洞窟の奥に一人の化物を見つけます。気づいた化物は王子を脅して、追い払おうとします。

この醜い姿を愛しいあの人に見られるわけにはいかない。どうか私のことは忘れて王国にかえってください。化物はそう思いました。

でも、その時王子は気づきました。化物がその懐に鏡を持っていることを。それは城で過ごした幸せな日々に贈り物として姫に与えたものでした。

『この化物が姫に違いない』

王子は森の魔女に教えられた魔法の呪文をとなえます。

その後のことは誰も知りません。漆黒の翼をもつ番いの化物が太陽を目指して高く高く飛んで行くのを見たというもの。あまりにも高く飛んだので陽の光に燃やされて灰になって地上に帰ることもなかったというもの。あるいは夕日の向こう永遠の夜を二人して今も飛び続けているというもの。


ただ一つ、王子が化物を探し当てたそのころから王国の子どもたちはオネショをしなくなったそうな。どっとはらい」